高齢者の尊厳を守る認知症ケア

認知症ケアとは、認知症と診断された高齢者が安心して暮らしていけるように支援を行うことをいいます。主にグループホームで取り入れられているケア方法で、実践するためには専門知識が必要です。

認知症と診断された高齢者は、相手の名前や顔、前日の出来事などを忘れていくことがあります。食事を重視しなくなって食事拒否をしたり、徘徊をし始めたりという症状も現れます。しかし、何もわからない高齢者というイメージで接するのは禁物です。

認知症ケアの基本は、高齢者の尊厳を守ることにあります。いろいろなことを忘れても、長い人生を歩んできた人であり、1人の人間であることに変わりがないのです。認知症の高齢者の日頃の行動を見ていると、危険だと感じることも多々あるでしょう。しかし、介護職がすべてを先回りして高齢者をカバーするのは望ましくありません。

自分で食事をとれる高齢者には、介護職の見守りのもとで自分で食事をしてもらう、料理をすることに不具合がなければ料理をお任せする、グループホームの家庭菜園で育てている野菜のお世話を任せるなど、一人ひとりが持つ能力に応じて役割分担をするのです。

日常生活を送る中で一人ひとりが役割を持つことは、高齢者の尊厳の維持に大きな影響を与えます。自尊心を損なわず、心の安定が図ることができ、認知症の進行を緩やかにする効果も望めるといわれています。高齢者の尊厳を守り、自立支援を行う認知症ケアに関心が高い介護職には、グループホームでの仕事が向いているでしょう。